「お客さまは神様」とは言うけれど
お客様は神様です。
とは、言うけれど困った神様ばかりの話しになってしまうのね。
わりと多い困ったお客さんのタイプは指示された目的地に到着しても眠り込んでしまい起きてくれない神様。
タクドラ夫(タクシードライバーの夫、の略ね)は電車が走っていない夜中の出動で、その時間帯は稼ぎ時でもあるのね。
そんな時に起きてくれないと次の仕事が出来ないし、帰車することも出来ない。
どんなに大きな声を掛けても、揺すっても突いても起きない場合はいくら神様でもこーするのです。
→最寄りの交番に行く、もしくはおまわりさんを呼ぶ。
特に起きない女性の場合は困るのです。
触れないから。
起こそうと手で触れて揺すって、「痴漢された!」と逆ギレされる事もあるからね。
酩酊した神様を裁いてくれるのはおまわり閻魔様なのだ。
おまわりさんも慣れたもので、
「ドライバーさん困っているから起きなさいよ」
って、叩き起こして料金の支払いまで確認して降ろしてくださる。
いざという時には武闘派になるおまわりさんは日頃肉体を鍛えているからね。
そこは割と強めに。
それでも起きない神様がいらした。
引きずり降ろそうとしても脚で踏ん張って降りない。
そこまで踏ん張れるなら起きてるんぢゃ?と思うのだけど、意地でも降りない。
困ったおまわりさん、神様の財布から免許証を取り出して本人確認をすると、
「あぁ、この人ね」
と言って登録されている自宅に電話して神様の奥様に迎えに来てもらった。
どうやら前科があるようだ。
「主人がまたご迷惑をおかけして申し訳ございません」
「あなた、帰りましょー」
それまで意地でも車から降りなかった神様は神奥のひと声でおとなしく降りて帰って行った。
甘えん坊だな。
おまわりさんのお世話になりたくなかったら、正体不明になるまで呑まないでちゃんと支払い、降車することね。
「〇〇交番までお願いします」
酩酊したお友達を代金まで託し行き先も指定される常習犯もいるけど、その場合は乗車をお引き受けします。
そこで閻魔さまがすぐに裁いてくださるからね( ̄∀ ̄)