タクシードライバーの嫁日記

三つ星タクシードライバーの夫が見た夜のドライブものがたり

「訴える!」だとぉ⁈

世には酒グセが悪いひとがいますが


酒グセが悪いひとはタクシーに乗るとやらかしますね。


酒グセにもいろいろタイプがありますけどね、

「酒が入ると人格が変わる」のはいけない。


酒で人格が変わった、と感じた時には本人の意識が既に無い。

本人の意識がないから、酒が醒めて意識が戻った後に「暴言暴力をふるった!」と言われても記憶がないから「はて?」なのね

記憶に無いものは反省しようがないから悪い酒グセは治らない。

しかも、そーゆー人にかぎって酒が好きとくるから始末に負えない。


六本木から乗車したその男Xは大手出版社のタクシーチケットを黄門さまの印籠のようにかざして行き先を告げた。

既に呂律がまわらない感じのXにトラブルの匂いを感じたタクドラ夫は行き先を確認しながら目的地へ急ぐ。

目的地辺りを確認して到着を告げると

「場所が違う!」と怒り出したX氏。

駆け出しのドライバーぢゃあるまいし、トラブル臭プンプンの乗客にはトラブルを避けるべく対策をしているタクドラ夫。

X氏は暴れたね〜

怒鳴り散らして、ドライバーシートや乗降ドアを蹴りまくって、自動ドアを壊しやがった。

興奮してるX氏、そのままタクシーのレシートに記入されているセンターにクレームを入れて

「ドライバーを訴える!」と。


そーゆー場合はちゃんと調査が入るの。

ちゃんとね。


タクシーチケットはX氏を接待した大手出版社のもので、そちらにも、X氏の会社にもちゃんと調査が入って、その事件は関係者に知れ渡ることになった。

そしてタクドラ夫の

「耳元で鼓膜破れるくらいの大声で怒鳴られ、商売道具のタクシーのドアまで壊された。訴えたいのはこちらです」の一言でクレームを取り下げ、逆に謝罪して来た。


接待先のタクシーチケット使って、何やってんだよ、Mr.X !


しかし、人格が変わってしまうほどの悪い酒グセは治らないざんしょ〜


「訴えてやる」事件の翌年、そのMr.Xはまたもやタクシードライバーに暴行して逮捕され、お勤めの大手企業を懲戒免職となった。

新聞記事になったくらいの事件だったのね。


叫喚地獄に堕ちても記憶にないから酒グセは治らないという。


「酒グセ良くないよ」と言われているひとはもう呑まない方がいいと思うよ。